『生活考察』編集日記

辻本力。ライター・編集者。『生活考察』編集人。お仕事の依頼は chikarat79@gmail.com まで。

伊藤比呂美×町田康『ふたつの波紋』、シンポジウム「詩の翻訳、詩になる翻訳」@文學界

<書籍>

文學界』掲載時に構成を担当していた伊藤比呂美さんと町田康さんの対談が、『ふたつの波紋』のタイトルで書籍化されました。文藝春秋より。

 

f:id:fiddle-stick:20220210183836j:plain

books.bunshun.jp

現代詩、朗読、古典翻訳などをめぐり、お互いの「文学とは」を賭けて全力でぶつかり合うかのごとき対話は、たいへんスリリングです。お互いの作品へのリスペクトがあるからこそできた、忖度なしの「言葉の格闘技」がここに(実際、時にめちゃ緊張感のある現場でした……)。

お2人の読者だけでなく、全文学ファンにとって刺激になる内容になっていると思います。ぜひ。

 

 

<雑誌>

文學界』2022年3月号で、シンポジウム「詩の翻訳、詩になる翻訳」の採録記事の構成を担当してます。
パネリストは、伊藤比呂美さん、菊地利奈さん、柴田元幸さん、栩木伸明さん、藤井一乃さん、四元康祐さんです。

 

f:id:fiddle-stick:20220210183901j:plain

www.bunshun.co.jp

四元さんの「詩は翻訳、翻訳は詩」、菊地さんの「『翻訳の過程』(非ファイナル・バージョン)を見せたい」、藤井さんによる日本における詩の翻訳の現状、伊藤さんの「『本当の意味で訳すことはできない』なんて言う原文原理主義者は傲慢。自分の言語にふんぞり帰っているようなものじゃないですか」、柴田さんの「『作者に会って印象が変わったから、翻訳も変える』なんて納得できない」、栩木さんの「古びたら、臆病にならず、どんどん訳し直していけばいい」といった発言が強く印象に残っています。

詩、翻訳にまつわるアクチュアルな言葉の数々が、とても刺激的です。どちらかにでも興味があれば、ぜひ読んでみてください。