『生活考察』編集日記

辻本力。ライター・編集者。『生活考察』編集人。お仕事の依頼は chikarat79@gmail.com まで。

円堂都司昭氏インタビュー(ソフトバンク ビジネス+IT)

文芸・音楽評論家の円堂都司昭さんに、近著『ソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」へ』(青土社)についてインタビューさせていただきました。


ソフトバンク ビジネス+IT
【円堂都司昭氏インタビュー】ソーシャル・ネットワーク時代の音楽のトランスフォーム



『ソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」へ』(青土社)




『ソーシャル化する音楽』は、ソーシャル・ネットワークが発達したゼロ年代以降のポップミュージックの歩みや在り様について書かれた本です。
しかし、じつはソーシャル化への欲望は遥か以前からあって……という内容でもあり、近年の音楽をとりまく状況「だけ」を論じたものではないのが特徴です。
ゆえに、ボーカロイドAKB48DOMMUNE、N次創作といった話題がある一方で、全共闘、60'sロック、パンクムーブメントといった過去の音楽・出来事も数多く参照されています。
つまり、かなり間口の広い本だと言えましょう(音楽に興味があれば、なんらかの取っ掛かりはあるはず)。
ゼロ年代以降の音楽に興味があって読んだ人は「歴史」を知ることができ、近年の音楽状況を知りたくて読んだ年配の人なんかは、自分には縁のないものだと思っていたネット以降の音楽が、慣れ親しんだ過去の音楽と地続きであったことに気づかされるわけです。


インタビューを読んで興味を持たれたら、ぜひ本も読んでみてください。


そうそう、じつは円堂さんにインタビューするのは今回で2度目。
最初は、私の作っている『生活考察』という雑誌(Vol.03)において、でした(まずは対談があり、後に円堂さんに単独インタビューをしました)。
その時は、「皿洗い」という日常の行為と音楽の関係についてお話を伺ったのですが(笑)、面白い角度から音楽を捉えた対談・インタビューなので(『ソーシャル化する音楽』ともつながるところがあります)、こちらも是非!

http://d.hatena.ne.jp/fiddle-stick/20120306

あ、まとめるにあたり、カットせざるを得なかったこぼれ話的なものもけっこうあったので、2つほど勝手にご紹介。


『ソーシャル化する音楽』の章立ては、椎名林檎がやっていたバンド「東京事変」の一連のアルバム・タイトルを模している(『教育』『大人(アダルト)』『娯楽』『スポーツ』『大発見』がそのタイトル。テレビ番組縛りになっている)。
(例)第2章「キャラクターをめぐる人形遊び」(イヤラシわけではないが、どこか「接触してる」イメージがあるから)は『大人(アダルト)』に相当。
   第3章「ライヴ感の共同体のなかのライフ」(ライブやフェスについて書かれている章)は『スポーツ』に相当。
   第5章「浮遊する音楽論」は『教育』に相当。 など


エアチェック(今は死語かもしれませんが、要するに、ラジオでかかる曲などをカセットテープに録音して楽しむ行為)の話題の延長で、「お小遣いが限られていた子供の頃って、買うレコード吟味したよねー」みたいな話に。当時、円堂さんのレコードを買う基準は「音数(が多いかどうか)」だったそう。以下、本人談。
「3ピースバンドは、4ピースバンドに比べて音数が少ないから買わなかった。「ポリス」なんかは買わないバンド最右翼。そういうのは友達から借りて聴いていました」
「3人だけど、エマーソン・レイク・アンド・パーマーは別。だって1人で何台ものキーボード操るじゃない?(3人でも音数多いからOK)」