『生活考察』編集日記

辻本力。ライター・編集者。『生活考察』編集人。お仕事の依頼は chikarat79@gmail.com まで。

ハイスタ特集@『サイゾー』1月号

【本日発売】


サイゾー』1月号の第2特集「再始動で見えたハイスタの“失敗”」で、「爺。パンクスの墓場に!? ハイスタの文化的功罪」という概論記事を書いています。

http://www.cyzo.com/2016/12/post_30730_entry.html



これは今年10月のゲリラ的な新譜発売と、昨年の、横山健氏の「ミュージックステーション」出演(地上波での演奏は初)を受けての特集で、私は、かつてのハイスタを中心とした「メロコアブーム」とその終焉、そして、それ以降の音楽シーンの変遷について書きました。


取材にご協力いただいたのは、長らくパンク/ハードコアの現場を見続けてきた編集者・大久保潤氏、コアな音楽ファンに愛されるレコードチェーン「diskunion」のパンク部門・安藤竜氏(ハードコアバンド「SYSTEMATIC DEATH」のメンバーとしても活動中)など。
お世話になりました!


タイトルは『サイゾー』ゆえに皮肉たっぷりですが、ハイスタという存在がもたらした「功」の部分にもしっかりフォーカスしたつもりです。
じっさい、執筆の過程で「横山健はなんのかんのでやっぱすごいなー」と痛感させられたりもしました。
紙幅の関係でごっそりカットせざるを得ませんでしたが、もっとアンダーグラウンドなハードコアシーンについても言及したかったなぁ、というのが唯一の心残りでしょうか。
じっさい、かつてのメロコアブームみたいなものとは異なりますが、今全国的にハードコア系のライブはムチャクチャ盛り上がっていますからね。
来日バンドの数もすごいですし。


本特集は、他にも磯部涼さんと矢野利裕さんによる「メロコア vs 日本語ラップ」対談、杉山達さんがハイスタに「英語力」という切り口から迫る記事(行川和彦氏も登場! いいなぁ)があり、いずれもひじょうに面白いです。


余談ですが、私自身、メロコアブームの真っ最中に多感な時期を送った人間です。
このへんの音楽が大好きな仲のよい友人もいたこともあり、そこそこ聴きました。
が、正直なところを言えば、メロコアとその周辺の音楽には、今で言うところの“リア充”的なものを感じていたこともあり、大きな鬱屈を抱えていた私は、やや敬遠するところがあったのも事実(ヌンチャクとかの方が好きでした)。
ハイスタの登場が、のちに「青春パンク」と呼ばれる、ポジティブなメッセージを発するバンドブームの足がかりになったことを考えると、当時素直に乗れなかったのも致し方ないよなぁ、などと思ったりする昨今です。


そんなわけで、いろいろ複雑な感情が胸に去来するなか書いた原稿でもあります。
ご一読いただければ幸いです。