『生活考察』編集日記

辻本力。ライター・編集者。『生活考察』編集人。お仕事の依頼は chikarat79@gmail.com まで。

お盆

お盆、ということで、伯父宅に線香をあげにいく。
仏壇の前で、ありがとうと(声には出さず)告げる。


祖母が亡くなったのは昨年のこと。
私は、まあいわゆるおばあちゃんっ子というやつだった。
見取ることはできなかったが、亡くなる前夜、意識を無くし病院のベッドに横たわる姿を目の当たりにした。
意識はないが、反射のせいか何なのか、腕だけ無意味にバタバタと動かす姿が印象に残っている。
恐る恐る、その手を握った。
その手は、祖母の「意思」とはまるで無関係に(と思われた)、握った私の手をぶんぶんと振り回すのだった。
それが最期になった。


車で行ったから酒を飲むわけにもいかず、お茶を飲みながら従姉と伯母としばしお喋り。
結婚し子供もいる従姉、やはり丸くなったといえば丸くなった。
まだ、以前の面影はあるけれど。
恥ずかしながら、音楽、特にロックに関しては、多少影響を受けたところがあった。
そういえば、従姉のくれたロック雑誌のバックナンバーの中に、彼女が書いたとおぼしき(たぶん高校生くらいのときだろう)未送のアンケートが残っていたことがあった。
好きな煙草の銘柄、なんてところにきちんと記入しているところをみると、恥ずかしいやら可愛らしいやら(もちろん、今にして思えばだが。当時、私は少中学生くらいだったわけで)。


帰宅後、野家啓一・著『物語の哲学』(岩波現代文庫)を読む。
哲学書とか思想書とか、十代のうちからもっと読んでおくんだった…と後悔している今日この頃。
もっとも、そのころ読んで理解出来たかは怪しいところだが。
なぜなら、今だって充分怪しいのだから。
最近の個人的興味は、いま「構造」以外の視点から「物語」を考えるにはどうしたらよいか、というようなことだったりする。
「作者の死」か・・・じゃあ、もう一回生き返らせたらどうなるか・・・ゾンビ?