『生活考察』編集日記

辻本力。ライター・編集者。『生活考察』編集人。お仕事の依頼は chikarat79@gmail.com まで。

ジョン・ベルーシの「眼」

久しぶりに母親と夕飯を食べる。
ダイエット中だなどと言っていたが(母親が)、結果食べたのは中華。
ダイエットからは最も遠い部類の食事なり。
定番だが、鶏肉の唐辛子炒めが旨い。
ハネる人はハネるけど、真っ黒く焦げた唐辛子を食べなきゃ、これが旨いのである。


食後、帰路にあるブック・オフにふらりと。
佐野繁次郎装丁本である船山馨・著『放浪家族』、コメディ俳優ジョン・ベルーシのドキュメント本『ベルーシ最期の事件』など10冊ほど購入(全て100円)。
まあ、いずれも古書価格500円前後のものばかり。


『ベルーシ』のさわりをパラパラと読む。

売れ出すと、それまでの貧乏暮しは終わりを告げた。収入が増え、ドラッグの量が増えた。ベルーシにドラッグを与えることは、動物園のアザラシにポップコーンを与えるような、一種のゲームと化した。少し与えると、彼は熱演し、もう少し与えると、一晩中眠らずに他の誰よりもすばらしく踊りと演技をするのだ。

ブルース・ブラザース』以前、『アニマル・ハウス』『サタデー・ナイト・ライブ』で人気がうなぎのぼりの時期の記述だ。
本書のテーマは、ドラッグとベルーシ、その破滅までの道のり、といったものか。
今日観ることのできる映像上のベルーシは、ほぼ常にドラッグの影響下にあったと思われる。
ただ、彼のあの「眼」――落ちこぼれが反逆に転ずるあのときの「眼」(『アニマル・ハウス』)、トレードマークのサングラスを外しキャリー・フィッシャーをじっと見つめるあのとき「眼」(『ブルース・ブラザーズ』)――は、ドラッグうんぬんを越えて、「本物」だったと信じている。


ベルーシ最期の事件―ハリウッドスターたちとドラッグの証言 (集英社文庫)