『生活考察』編集日記

辻本力。ライター・編集者。『生活考察』編集人。お仕事の依頼は chikarat79@gmail.com まで。

脱線

いろいろ中断が入ってしまったため、『ニッポンの思想』まだ途中。
柄谷行人についての章を読んでいて、『何ごとかを「教える―学ぶ」という非対称的な関係にこそコミュニケーション(=交通)の本質があり、そこで見出されるものが「他者」である』という柄谷の論の要約を読んで、それとは直接的に関係なく、「教育普及」という言葉が思い浮かんだ。
基本的に教育普及という行為自体は否定するどころかとても素晴らしいものだけれども、過度な・過剰な教育普及はどうにもそこに戦略・大人の事情めいたもの(もっと言えば保身めいたものまでも)の匂いがし、若干違和感めいたものを感じるなーなどと時折思うことがあった(まあ難しい問題だとは思うし、それこそ私なぞがどうこう言えるようなことでもないわけだが)。
これがさらに進行すると、結局のところ、じつは前提として「他者」が不在なんじゃないか(もしくは途中で抜け落ちたか)というような疑念すらも生じたりするわけで……。


昨日買った『東京都北区赤羽』(清野とおる・著/Bbmfマガジン)の第一巻を一気読み。
これは傑作、大いに笑う。
迷惑と愛おしさに満ちた、日常と非日常のあわいを彷徨う『因果鉄道の夜』?