『生活考察』編集日記

辻本力。ライター・編集者。『生活考察』編集人。お仕事の依頼は chikarat79@gmail.com まで。

シャッターと更地と駐車場

友人が、何やらいろいろな人が散歩する様を撮影(ビデオ)したいとのことで、呼ばれて駅付近をねり歩く。
どこか面白い場所はないかと問われ、ウンウン考えるもあまり思い浮かばず(だからこの辺であまり散歩ってしないんだな)。
どうにかひねり出したのは、赤線跡(かなり無理やり)。
というわけで、普段あまり通らぬ裏通りを数人でブラブラ(内一人はスケートボードで滑走)。
小寒いくらいの気候だが、歩いていると、じっとりと汗が滲んでくる。
それにしても、ここ10年くらいでだいぶ景観も変わった。
10年前頃には、もっと趣のある建造物が残っていたような気がするが、取り壊されたり、駐車場になってしまっていたりで、けっこうガランとしている。
そんな中で、ポツンと取り残された、かなり年季の入った民宿のような旅館がまだ営業していたのには驚いた。


あらためてこの町が、シャッターの降りた店舗や、店が潰れ更地ないしは駐車場になった土地で溢れていることを再確認した(反対に、暗く足を踏み入れ難かった通りが、新規の店が多数出来たことで明るくなり、機能するようになったという局地的な例もなくなはないが)。
友人らと歩くのはとても楽しかったが、目にする光景のそこここに、どうにも複雑な想い(地域の活性とか謳っていても、これほどの酷い現状を目の当たりにすると、実際的な、現実的な打開策が本当にあるのだろうか、など)を抱かざるをえなかったのもまた事実。


この場合においては、「諦め」はもちろん良いことではない。
が、事態はすでに「諦め」の遥か先にあるような気がしてならない。