『生活考察』編集日記

辻本力。ライター・編集者。『生活考察』編集人。お仕事の依頼は chikarat79@gmail.com まで。

最近の仕事のまとめ 2023年1月現在

最近の仕事のまとめです。

 

<テキスト>

100分de名著

北條民雄いのちの初夜』 2023年2月

[講師]中江有里

www.nhk-book.co.jp

編集(構成)で参加してます。

ハンセン病と差別の問題を、過去のものではなく、コロナ禍にも通ずるものとして捉えた、非常にアクチュアルな視点が素晴らしいです。

また、『いのちの初夜』をハンセン病文学“だけ”ではなく、青春文学として読もうという姿勢も新鮮でした。

中江さんのお母さまとの思い出なども語られていて、とても胸に迫る内容になっています。

 

 

<雑誌>

聞き手・構成を担当している『NHK短歌』の穂村弘さんの対談連載「あの人と短歌」、今号から3回に渡ってご登場いただくゲストは、厳選した本を関連企画と共に販売するオンライン書店「COTOGOTOBOOKS」を立ち上げた文筆家の木村綾子さんです。

www.nhk-book.co.jp

モデル時代に、仲間のギャルたちに短歌を勧めていたというエピソードがすごく面白かったです。

引き続き、乞うご期待。

 

 

<書籍>

佐々木敦さんの『ニッポンの音楽』、新書版に続き、この度発売となった文庫版(『増補・決定版 ニッポンの音楽』扶桑社)でも、新たに収録された「補論」の再録・構成を担当してます。

https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594092429

2014年末に刊行されたオリジナル版の“その後”の音楽シーンについての充実の論考です。

新書版を読まれた方も、初めての方も、ぜひ!

以下に、補論の小見出しを上げておきます。

 

<ボーナストラック Jポップ「再生」の物語>
さらなる「葬送の物語」へ/サブスクリプション・サービスの台頭/サブスクの落とし穴/サブスク時代の「スター誕生」/NEXT中田ヤスタカは誰だ?問題/現代のセンスエリートたち/「センス」型から「学」型へ/周縁化するリスナー型ミュージシャンたち/「無敵」の星野源/KポップとSony Music/エイベックスの新たな挑戦/ファンサービスをめぐって/ニッポンの音楽の「発見」/グローバリズムか? ローカリズムか?/「ネタ」から「マジ」へ/言語の壁を越える/ネットが加速させたファンダム/災厄とファンベース/「日本(語)だから無理」ではない

 

 

<web>

去年の終盤に取材させていただいた、代田橋の超狭小書店「バックパックブックス」さんの記事がアップされました。

American Expressのメディア「Business Class」の企画です。

www.americanexpress.com

店主の宮里祐人さんに、出版社勤務から書店開店へと至ったワケや、代田橋という土地における店同士の関係、「バックパックブックス」というお店の理想などについてお話を伺いました。

 

 

<web>

競技プログラミングの第一人者で、現在は、競技プログラミングコンテストの運営や開発を手がける「AtCoder(アットコーダー)」の代表を務める高橋直大さんにインタビューしました。

オフィス家具でおなじみのメーカー「オカムラ」が手がけるメディア「lifestyle store」のインタビュー連載「誰も知らない、わたしの在宅ワーク図鑑。」の最新回です。

lifestylestore.okamura.co.jp

「ほぼ在宅ワーク」となって久しい高橋さんに、家での仕事を快適にするコツや、長年愛用されているというオカムラ社製品「Cruise & Atlas(クルーズ&アトラス)」との出会いについて伺いました。

仕事にエンタメ要素を盛り込むことで、リラックス&効率化を図る、というお話が個人的にはとても面白かったです。

 

 

<web>

同じくオカムラの「lifestyle store」の記事で、同社の人気チェア「シルフィー」の誕生秘話の記事もお手伝いしてます。

こちらは構成のみ。

lifestylestore.okamura.co.jp

 

 

 

〈本日発売〉『失われた“雑談”を求めて』(タバブックス)

<本日発売>

ここ1年半ほどかけて作っていた本が、ようやっと発売になりました。

タイトルは『失われた“雑談”を求めて』(タバブックス)です。

tababooks.com

 

 

約100名と、ひたすら雑談しまくった記録です。

「まえがき」と、各章の冒頭の短文以外、本当に全部雑談です。

なお、刊行にあたって、版元のサイトにコメントを寄せています。

そちらもご覧いたらければ幸いです(以下のリンク)。

tababooks.com

 

詳細は、下記にも。

ここから、さらなる雑談の輪が広がっていったら嬉しいです。

何卒よろしくお願いします。

 

失われた“雑談”を求めて

著 辻本力
2022年12月6日発売
デザイン 内川たくや(UCHIKAWADESIGN Inc)
装画 ばったん
四六判・並製・256ページ
ISBN978-4-907053-59-8 C0095
定価 1800円+税

 

雑談に飢えていた。

企画会議で全くアイデアが浮かばず動揺したフリーライター
これはコロナ禍で外で人と会うことが難しくなり、打合せや取材がオンライン化したことで、いわゆる「雑談」ができなくなったからなのではないか。
そこで思いついた、ただただ雑談をする企画。とりとめのないお喋りのもたらす楽しさ、豊さ、下らなさ、愛しさがここにある!

『コロナ禍日記』に続く「生活考察叢書」第2弾。

 

雑談した人 約100人!

吉田薫/伊藤暁里(Taiko Super Kicks)/宮崎智之/矢野利裕&スズキロク/柿内正午/友田とん/はらだ有彩/松波太郎(豊泉堂)/山口伸雄/鳥澤光/山野正徳&山野友美恵(かえる食堂)/樋川まゆみ(大塚まるま)/柴垣光良(焼鳥とりねこ)/小川さやか/穂村弘枡野浩一/恋幟モンゴロイドド(Vampillia、VMO)/滝口悠生九龍ジョー磯部涼佐々木貴江×中本美恵×林カケ子/越湖吾一(トラノココーヒー)/山下賢二(ホホホ座)/豊﨑由美/成松哲/butaji/海猫沢めろん/酉島伝法/ひらりさ/宮川真紀/馬場幸治(古書ビビビ)/KURUMI/柴崎友香/Yasuko Tadokoro/中岡祐介/セバスティアン・カンプ/小沼理/野口尚子/小林えみ(マルジナリア書店)/佐々木美佳×鈴木雅代/げじま/めがねっこ/松宏彰/逸見貴人/ニコ・ニコルソン/太田原由明(HiBARI books & coffee)/ umi/海野麻子 /飯塚裕一/永井玲衣/大久保歩美/鹿角優邦/大橋祐太/服部桃子/fujico/黒田義隆&黒田杏子(ON READING)/嶋勇也(Q.O.L.COFFEE)/須藤輝/オカヤイヅミ/隅田川歩&岩崎巧真(たたらの目)/平山高敏/タダジュン/西麻沙子&峯村大作&あきひろ/水谷暁人(3LA)/馬場わかな/鶴見済森山裕之/森田真規/安永知澄×森泉岳土×おくやまゆか×谷口愛/海猫沢めろん×兼桝綾×上林達也・佐藤光彦/pha/進藤奈央子/浜田輝/並木潤一/今田健太郎/鈴木なりさ/岸本佐知子渡辺実円城塔×福永信/稲田俊輔/内川たくや/ばったん/辻本(父)&辻本(母)

 

最近の仕事まとめ(2022年7〜11月)

<web>

「CINRA」で、アーティストの友沢こたおさんにインタビューしました。

www.cinra.net

2022年3月に東京藝術大学を卒業後、藝大の大学院に進学したばかりの友沢さんに、7月3〜26日まで開催された個展『Monochrome』の制作の裏側をはじめ、他者の評価との向き合い方、現代の「生きづらさ」と作品の影響、不条理な世界におけるアートの役割、理想の変態像……など、たっぷりと話をうかがいました。

 

 

<web>

サイトのリニューアルの関係で長らくストップしていたCINRA.JOBのインタビュー連載「その仕事、やめる?やめない?」が復活しました。

1年以上振りとなる最新回のゲストは、大人気の南インド料理店「エリックサウス」の総料理長・稲田俊輔さんです。

www.cinra.net

エリックサウスは、オープンした頃からの大好きなお店で、稲田さんのレシピ本なども愛読していることもあり、完全に俺得な取材でした。

 

 

<テキスト>

100分de名著

折口信夫『古代研究』 2022年10月

編集協力という形で参加しています(主に構成を担当)。

www.nhk-book.co.jp

講師は、国文学者・國學院大學教授の上野誠先生です。
難解な折口の代表作を、とても分かりやすく解説いただきました。

 

 

<テキスト>

聞き手・構成を担当している『NHK短歌』の穂村弘さんの対談連載「あの人と短歌」、今号から3回に渡ってご登場いただくゲストは、俳人の堀本裕樹さんです。

www.nhk-book.co.jp

堀本さんの最新句集『一粟』のお話や、俳句と短歌の表現上の同異などについて、たっぷりお話しいただきました。

 

 

<web>

飲料メーカー・キリンのメディア「KIRINto」で、発酵学者・食文化論者の小泉武夫先生と、協和発酵バイオ株式会社 代表取締役社長の神崎夕紀さんとの対談の聞き手・構成を担当しました。前後編です。発酵学のレジェンドにお話を伺うことができて、たいへん光栄でした。

kirinto.kirin.co.jp

kirinto.kirin.co.jp

 

 

<web>

飲料メーカー・キリンのメディア「KIRINto」で、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんにインタビューしました。伝統をユースカルチャーとして再定義し、発酵ファンの裾野を広げ続けているヒラクさんに、現代社会との関係性を軸に、なぜ今“発酵”に注目が集まっているのかを伺いました。

kirinto.kirin.co.jp

 

 

<雑誌>

タバブックスの発行する雑誌『仕事文脈』vol.21に、連載「『聞く』という仕事」の第8回が掲載されています。今回のテーマは、今年12月頭に刊行となる本『失われた“雑談”を求めて』(『生活考察』Vol.08でやった、いろいろな人と雑談をしまくる記事の超拡大版)について書いてます。

tababooks.com

永井玲衣×穂村弘『NHK短歌』、KIRINto「椀子ヴィンヤード」取材、鶴見済インタビュー『クイック・ジャパン』

<雑誌>

構成を担当している『NHK短歌』の穂村弘さんの対談連載「あの人と短歌」、今月号からご登場いただくゲストは、哲学研究者の永井玲衣さんです。

 

「自分の中で、哲学と詩歌はつながったものとしてある」という永井さんと、「かつて哲学者に憧れていた」という穂村さん。哲学的思考と韻文との関係に迫る全3回です。

永井さんのエッセイ集『水中の哲学者たち』(晶文社)とあわせて読んでいただけると、より深く味わえるのではないかと思います。

www.nhk-book.co.jp

 

 

<web>

KIRINのオウンドメディア「KIRINto」で、長野県上田市丸子地区陣場台地に広がるシャトー・メルシャンのブドウ畑「椀子ヴィンヤード」を取材しました。

お話を伺ったのは、植生生態学・景観生態学の専門家・楠本良延さんと、KIRINのCSV戦略部で環境コミュニケーションを担当する藤原啓一郎さん。

 

約8年間続いている、椀子ヴィンヤードでの生態系調査と植生の再生活動のお話を中心に、ワインのブドウ作りにおける生物多様の重要性について、今後「自然」について考える上でより重要になっていくであろう「ローカル」という視点について、たっぷり語っていただきました。

kirinto.kirin.co.jp

 

 

<雑誌>

『クイック・ジャパン』(太田出版)161号の第2特集「休み!の冒険」で、90年代の社会に大きな衝撃を与えたベストセラー『完全自殺マニュアル』の著者・鶴見済さんにインタビューしました。

 

長らく現代の「生きづらさ」問題にフォーカスし続けてきた鶴見さんの原点回帰的な新刊『人間関係を半分降りる 気楽なつながりの作り方』(筑摩書房、7月1日発売)のお話を交えつつ、“今”という時代を生き抜くための鶴見流「休みのススメ」を伺いました。

思えば、紙の方のQJでお仕事するのは初。編集担当の森田真規さん、『QJWeb』編集長・森山裕之さんと一緒に鶴見さんのご自宅に伺っての取材、という貴重な体験となりました。『完全自殺マニュアル』がベストセラーになっていた当時は、鶴見さんを取材する日が来るなんて思ってもみなかったわけで、何があるか分からないものです。

www.ohtabooks.com

 

<追記>

記事が、『QJWeb』に転載されました。ネットで読めるので、ぜひ。

qjweb.jp



最近の仕事まとめ(6/6更新)

最近の仕事まとめ

 

<雑誌>

タバブックスが発行する「仕事」をめぐる雑誌『仕事文脈』vol.20に、インタビュー仕事にまつわるあれこれについて書く連載「<聞く>という仕事」の最新回(第七回)を寄稿しています。

以前(第五回で)書いた、取材でついしてしまいがちな「ベタな質問」の話題をさらに掘り下げる感じの内容です。

人の話を聞くことで、自分が「変わる」ことを肯定したい、みたいな感じのことを書いております。

 

tababooks.com

 

 

<雑誌>

文學界』2022年6月号で、越境作家たちによるシンポジウム「移動するアイデンティティ」(アーサー・ビナード×関口涼子×多和田葉子×李琴峰)の構成を担当しました。

 

 

www.bunshun.co.jp

 

 

<エッセイ>

三軒茶屋キャロットタワー内にある文化施設「生活工房」が発行する『アニュアルレポート2021』に短いエッセイを寄稿しました。

「生活と記録の問答集」というコーナーに、私が作っている雑誌『生活考察』と、生活について考えることの面白さについて書いてます。

三茶にお越しの際は、ぜひお手にとっていただければ幸いです。

 

www.setagaya-ldc.net

 

 

<web>

先日、パナソニックがローンチしたオウンドメディア『MAKE NEW MAGAZINE』で、岐阜県多治見市を舞台に、地元企業・株式会社エネファントとパナソニックが二人三脚で進める省エネ・脱炭素プロジェクトについて取材しました。

 

makenew.panasonic.jp

 

 

<web>

『CINRA.JOB』で、紙媒体からデジタルまで幅広いメディアの運営と記事制作を手がける制作会社・ロースターの代表・大崎安芸路さんにインタビューしました。

事務所移転を機にカフェ「夏目坂珈琲」(早稲田)のプロデュースに乗り出した理由や、いまの時代の「編集」という仕事について、思うところをたっぷりと伺いました。

 

job.cinra.net

 

「失われた“雑談”を求めて 外編」@BOOK LOVER’S HOLIDAY #1(BONUS TRACK 広場)

<イベント(のようなもの)

好評いただいております『生活考察』Vol.08、なかでも反響の多い「失われた雑談を求めて」にちなんだリアル企画を行うことになりました。

題して「失われた“雑談”を求めて 外編」。

 

明日、2月27日(日)、下北沢のBONUS TRACK 広場で行われるブックマーケット「BOOK LOVER’S HOLIDAY #17」のタバブックス販売ブースで、編集人の辻本と“雑談”をしませんか? という企画です。

ブックマーケット自体は11:00-17:00でやっていますが、この雑談企画自体は14:00-17:00で行います。

5分でも、10分でも構いません、ふらりとお立ち寄りください。

 

2/27(日) 「失われた“雑談”を求めて 外編」@BOOK LOVER’S HOLIDAY #17

日時:2月27日(日)14:00-17:00頃(イベント自体は11:00-17:00)
場所:BONUS TRACK 広場 タバブックス販売ブース
住所:東京都世田谷区代田 2-36-15


雑談していってくださった方には、弊誌最新号の執筆者である、酉島伝法さん、ひらりささん(劇団雌猫)、海猫沢めろんさん、柴崎友香さんとの雑談を収録した特典冊子「失われた“雑談“を求めて ボーナストラック」(『生活考察』には未収録)を差し上げます。

 

開催にあたって、タバブックスのHPに少し文章を書きましたので、よろしければご覧ください。

tababooks.com

 

ご来場をお待ちしております。

よろしくお願いします。

伊藤比呂美×町田康『ふたつの波紋』、シンポジウム「詩の翻訳、詩になる翻訳」@文學界

<書籍>

文學界』掲載時に構成を担当していた伊藤比呂美さんと町田康さんの対談が、『ふたつの波紋』のタイトルで書籍化されました。文藝春秋より。

 

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books.bunshun.jp

現代詩、朗読、古典翻訳などをめぐり、お互いの「文学とは」を賭けて全力でぶつかり合うかのごとき対話は、たいへんスリリングです。お互いの作品へのリスペクトがあるからこそできた、忖度なしの「言葉の格闘技」がここに(実際、時にめちゃ緊張感のある現場でした……)。

お2人の読者だけでなく、全文学ファンにとって刺激になる内容になっていると思います。ぜひ。

 

 

<雑誌>

文學界』2022年3月号で、シンポジウム「詩の翻訳、詩になる翻訳」の採録記事の構成を担当してます。
パネリストは、伊藤比呂美さん、菊地利奈さん、柴田元幸さん、栩木伸明さん、藤井一乃さん、四元康祐さんです。

 

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www.bunshun.co.jp

四元さんの「詩は翻訳、翻訳は詩」、菊地さんの「『翻訳の過程』(非ファイナル・バージョン)を見せたい」、藤井さんによる日本における詩の翻訳の現状、伊藤さんの「『本当の意味で訳すことはできない』なんて言う原文原理主義者は傲慢。自分の言語にふんぞり帰っているようなものじゃないですか」、柴田さんの「『作者に会って印象が変わったから、翻訳も変える』なんて納得できない」、栩木さんの「古びたら、臆病にならず、どんどん訳し直していけばいい」といった発言が強く印象に残っています。

詩、翻訳にまつわるアクチュアルな言葉の数々が、とても刺激的です。どちらかにでも興味があれば、ぜひ読んでみてください。